中島らもの『異人伝』を読んだ。やはり、ここ最近のらも氏のエッセイや小説は少々疑問が残る。まず、以前書いたネタが多く氏の著書をほぼ読みつくして来た身としては新鮮味がないというのが一番の理由で。そして今回は何故か文章が関西弁まるだしの語りになっている(らも氏が喋ったのをほぼそのままま文章に移しているのだろうか?)。ま、それは良しとしようしかし、自分の作品の映画化の話しも載っているのだが「できあがるのが楽しみだなあ」ってどうよ普通やん!「らも教」っていう新興宗教をつくるとかもらもが「ワンタンメンを食べてそのお下がりのスープだけを信者にふるまう」って何?宗教内容及び行為にインパクトが無い、皆無に近い。そして、最後にびっくりするのは年譜がある事だ・・・。おっさん、まだ死んで無いやん!そんなんは死んでから載せろよと。あと最近の小説『こどもの一生』もあのキャラクターを生かすにはリアリズム的考察がもう少し必要だと感じた。やはり相対的に30才代の時と比べパワーが格段に落ちるのは仕方のない事なのであろうか?
 最近特に矢継ぎ早に出版を重ねているが共著が多いという理由だけで無く、どうも多くがやっつけ仕事みたいに思えてしかたなく・・・。らもの看板を出せば売れるとばかりの現状に「直木賞を取れる逸材」「シニカル&コミカルなエッセイスト」「破滅型の鬼才」と目されていたらも氏には私としては現在の状況は残念である。「作家なら裏切れ」とは今、らも氏に最も言いたい言葉である。

異人伝―中島らものやり口

異人伝―中島らものやり口