フランス語を話すスイス人

実家に帰る際に、駅の近くに売り出してある物件を一目見ようと思い、向かった。

その物件は面してる道路がなく、そのため値段は安く設定されているみたいであった。

アパート自体は小綺麗な感じであったし、壁も最近塗られてあったが壁の端には亀裂が見受けられた。

アパートの前には新築の家があり隣は公園であった。道路に面していない物件はなかなか難しいなと思いながら、電車で実家に向かおうとしたがちょうどギリギリ電車が出たところであった。

仕方なくバスで実家へと向かう。

和歌浦行きのバスがちょうど来たので、運転手に手平へと行くか聞いたがぶっきらぼうに、不機嫌にこれは行かないよと運転手は言った。

バス運転手不足は運転手にも不幸を投げかけているのだなと直感した。

手平へと向かうバスが来て乗ると外国人のカップルが乗り込んできた。話してるのを聞くとどうやらフランス語であった。

一応元気?とさりげなく言ってみるがカップルの彼女の方は怪訝な面持ちであった。

まあ、そりゃそうだろう異国の片田舎でフランス語で話しかけられるとはつゆほど思わないだろう。

彼が俺の携帯どこにあったっけ?と彼女に聞いていたので。

私はついフランス語を話すのですね。

と彼らに聞くと、ええでもスイス出身ですよと答えた。

なるほどと私は一応理解したが、私がフランスのパリに留学した時にはフランス語を話せないスイス人の生徒が多かったので、スイスの事情に詳しく無い私は理解するのには時間がかかった。

まあ、スイスではドイツに近い地域はドイツ語を主流に話してフランス語はそんなに話せないのだろうし、その逆もまたそうなのであろう。

 

カップルの男性はあまり話しない感じだったが、彼女は私に色々と聞いてきた。

旅行で日本に来たのですか?と聞くと

彼女は、ええ、尾道から京都奈良和歌山、そして東京へと行くのよ、日本は初めてよ。と言った。

日本は今だいぶ物価安いですか?と聞くと

ええそうね、と彼らは同時にに答えた。

新聞やメディアでは、円安が言われているが庶民レベル?でもやはりそうなんだなと思った。

昔、フランス語を勉強していた時、フランス人の先生から和歌山には何がおるのですか?と問われ。考えたあげく、何も無いと言ったが現在では高野山や熊野があると胸を張って言えるまでになった感はある。

私は需要があるなら、この機会に祖父母が暮らしていた古民家を改修して、滞在施設へと変貌させようかとも考えた…。