不知主張

 店頭に来店したのは人の善さそうな50代の男性であった。
 延滞で督促した際にそんなのは知らないと借入不知を主張していた。
 そして詳しい事を聞く為に来店したのだが…。
 「うーん、思い当たるのはあの同僚かな」と言った。しかしその同僚は数日前に死んだとの事であった。
 飛び下りたと。
 「何十年も一緒に酒を酌み交わしたりとの付き合いだったんだが…。」
 最近のcfj=ディックのCMを思い出した。そうお金が全てでは無いと。あなたが重要なのです、あなたという人間はここには一人しかいませんよ!
 破産という法的に認められた手段も使いなさい、そう死ぬよりはましです。
 しかしそれは人それぞれの価値観で幾重にも微妙に変化する。破産という選択肢しか残されていないならば死を選ぶという人もいてしかり。