崖から落下する車

 昨日は鬼押し出し園からは細君が車を運転してくれたので、今日は体の疲れが幾分ましだった。途中迄私が運転したがスピードを出すから恐いとの事で、じゃ君が運転しろよと代わったのだ。
 俺が運転するとその夜は悪夢を見ると彼女は言った。
崖を突っ切って「あーーー」と車ごと崖から落ちてゆくのよと。
 ま、確かに今迄の私の車の事故経歴からしてはその想像は無理からぬ事であると自分でも思った。
今日からまた一人静かなビジネスホテル残された私はずっと孤独の夜を過す事にも慣れていたが、細君が戻ってしまうと何かしら物悲しい気分が心の表面をつたいまたあの細君とメイと私の生活に戻れるか自身をなくしていた。