東京忘年会と歌舞伎町

 会社の忘年会で関空から東京へと向かった。上空から見る東京の地はあまりにも当たり前すぎて感慨は皆無に近かった。
 しかし別の感情…そう、ノスタルジアとも言うべき感情がしんみりと滲み出す。
 空中から眺めたバンコクの茶色い土地と、うねりながら流れるチャオプラヤ川ドンムアン空港に降り立った時の熱帯の臭い…。
 ドバイの沙漠の向こうに煌めく空港と都市。ドバイの空港での金銀プラチナの眩いばかりの光り…。
 パリの中世の名残りがそのままな華の都と周辺の兎の走る草原。シャルル・ド・ゴールでのアフリカの黒人の民俗衣裳。そう様々な空からの眺めと降り立った時のあのインパクトとカルチャーショックが尚も私の身に静かに降り注ぐ。
 忘年会はあまりにもいたたまれなかったのでここでは割愛させていただく…。
 忘年会が終わり、新宿は歌舞伎町へとくり出した。初めての歌舞伎町は椎名林檎のイメージが頑固に私の中でかたまっていたが特にその他の日本の飲み屋街と変わる事は無いように思えた。ただ、歌舞伎町の一部のみを知るだけなので、時間も無くそのディープな所までをいつ来るかもしれないが今度の機会にと思った。首都のばかでかい歓楽街…。
 くりだした風俗では、地下へと誘われた。まるで後ろを振り返ると地獄が口を開けているかのような感覚に陥ったが、そこにいたのはまるで落ちた天使かと見間違うほどで、まだ見た事も無い山形と言う東北の国、その出身の風俗嬢の少しばかり訛った言葉遣いと降りしきる雨の憩いに、そして彼女の手のひらサイズの乳房にむしゃぶりつき、我が身の行く末を夜空の宴に見い出し、悪魔の囁きに似た言葉にまかせたきりだった…。