上海の路傍

 重い荷物を背負って上海の魯迅の記念館へと行ったと記憶する。あるいは別の人の記念館だったかも知れぬが…。
 上海の街に自分がいる実感。路傍にて歩む私。
その後宿を探すが外国人の泊まれる場所が限られている為、普通の中国人が泊まる宿は拒否される。身分証の提示を求められ、日本のパスポートを提示するとにべもなく断られる。

 夜迄歩いて仕方なくガイドブックに載っているホテルへとタクシーで向かう。人民元が手持ちに無くホテルの人に言うと明日銀行が開いてから両替えに行けばよいと。
 夕食に近くのレストランへ入ると日本人とわかるのか食堂の親父が「ミシミシ」と言うがなんの事か不明だが相槌をうつと食材を私に見せた。その中から卵とトマトと海老をチョイスしてあとは親父に任せた。あとで気づいたが「ミシミシ」とは「飯、めし」の事であった。少しして出てきた料理は卵とトマトのオムレツ風と後は小海老の何かであったが海老の方はもうどのような料理であったか忘れた。果たして海老だったのかも疑問だ。ただそこの料理屋の水槽で泳ぐ小海老の残像が今もなお忘れずにいる。