さよなら私

脳が全てを「ある」と思い込んでいる…
「そもそもはない」とつぶやくのだ、だが…

 この呪文は一見、人の幸せを打ち消しているように思えますが、「ない」とは否定の意味ではありません。
 否定とて、あることを前提にしているからです。
 何もないということがわかるまでに、いや一生わからずじまいで終わるのが人生かもしれません。
 気がつく間もなく、人は死んで何もなくなってしまいます。
 死すら、そもそもはないのに。                  P23

自分というのは豆腐のような白い脳が作り出した幻想にすぎない

さよなら私

さよなら私


脳の奴隷が自分
その脳の作り出す自我の喜怒哀楽に踊らされている自分

 もう、あきらめるしかないが正しい。
 しかし、人は不安と真っ向に対峙したとき、必ず成長するものです。
 ただ単に年をとれば大人になれるわけではありません。目の前の不安から逃げないで、どうにかうまくつきあっていこうとする気持ちが人を大人にするのです。
 それにはできる限り他人にやさしくするのがいいでしょう。他人が喜ぶことだけを考えて、それを趣味に生きていけばいいのです。
 偽善だっていわれてもかまいません。
 とにかく少しでも自分に興味をなくし、自分以外のものに興味を向けるべきなのです。      P43

自分なくしというのは夏目漱石の則天去私と同類の観念なのだろう…