人の名、名

 母が新聞を私に見せて。息子と同じ名前の子が乗ってるのと言った。
見るとひらがなだが息子と同じ名前だった。それは孤児のもらい手を探す欄であった。

 世界にはいや日本にでもいまだ悲劇が繰り返されている事態の暗鬱さをまざまざと思い知る出来事だった。とくに息子と同じ名前であるがゆえにその事を何か自分自身に私の家庭に起こりうる出来事でもあるかのような錯覚にすら落ち入った。しかし一概には言えぬがその子供が孤児になった事情により悲劇は様々であろう…。
 昼前に祖母の家に行き柿を取る。昼食は隣の家の息子さんが料理屋を開店したとの事で行ってみるとなったのだが休日のランチは無いとの事で、結局六三園のがんこへと行く。
瑞々しい庭を廻る。
 夕方に帰り途中でりんくうのアウトレットに寄る。7周年記念が開催されており、細君は靴を私は服を買った。日頃はほとんど服など買わないのだが買ってもフランス好きなのでいつもフランスのブランドの服を買うのだが今回はHAMNETTという英国のブランドがビビットで気に入った。黒の服とマフラーとニット帽の三点セットを買う。
 消費する文化の中で踊らされるのは好きでは無いがその中から選ぶ権利は行使せざるを得ないのが実情だ…。
 帰りにケンタッキーを買ったが、やはり今日の新聞で見た孤児の子の笑顔がいつまでも脳裏に焼き付いて…。自分の境遇とこれからの日々をどう過すかを考えていた。