結核を吐く妖精

 夜最終に訪れたその家は古い洋館で、手元の資料の情報では女性の一人住まいで大正生まれの80歳過ぎのとの事であった。
 車で山道を登り切ったその先にあると教えてくれた山の梺の旅館の主人が
「ああ、あのzさんですね、気をつけてね。」
と意味ありげな言葉が気になった。

 高く聳えるその洋館の前の小さな小屋の横に少し窪みが出来ている所に車を止め。
鉄門の前に立つと辺りから何かしら奇妙に
「ホーティジ、ホーティージャ」
と哭く鳥の怪し気な声が…いや森の音がそう聞こえるのかと今迄聞いた事もない声が訝しく思えた。
 門から玄関までもまるで幽霊が出そうな雰囲気で進むのも躊躇われたが意を決して進んだ。
 玄関から洋館を上の方に眺めるとニ階の一室から光りが微かに漏れている。
居るなと確信しドアをコンコンとノックした。
二三度ノックしたがこの程度では聞こえないのかと思い再度強くノックするとバタンと急に中からドアを蹴破るような勢いでドアが開き一人の少女が現れた。
 一人暮らしと聞いていたので不思議に思った、しかもそのドアを開ける物凄い勢いに私は驚きを隠せなかったが気持ちを切り替えzさんのお宅ですよね、k子さんは居ますか?と聞くと。「私ですが」とその少女が答えた。