メイと名付けられたその猫の考えている事は解らない、私の顔を見つめるその目。
昼と夜で変わる目…。
胎児の記憶が有ると知人が言った。しかし私には猫であった頃の記憶が有る…。
不思議な記憶だ…。
鳴いている私。必死で…。
私の気持ちを伝えたくて何度も何度も鳴いていた…。
公園で…。母は気づくといなかった…。
何日も…暑い盛りに…。
雨が降ってきた…しかし尚も私はそこにいた…。
毛虫が横にポトリと落ちてきた…奇妙にくねっていた…。
これは何だろうと私がその時一番不思議に感じた物体だった。
そして大きな人間がやってきて私は抱えあげられた。
その後の記憶は無い、猫としての記憶はそこで途切れている…。