旅を夢想する捕虜

 ここに囚われて幾年月が過ぎたろうか?最初は毎日つけていた日記も今は足下にほっとかれたままだ。ここがどこなのかというのも今もって解らぬ。
 憎体としての肉体は滅びの時間を迎えようとしている。ああ、私の人生で思い出すのは数々の放浪の最中に見い出した感動だけだ…。