不眠症へと回帰する臨界

 少しばかり暖かくなってきただろうか?と照る日の庭を歩いていると、微かに誰かの話声が聞こえてきた。と思っているとすぐさま目が覚めた。するとそこは或旅館で私はきっと誰かの話声で目が覚めたのだろうと思って。また寒さの空気の間の下で蒲団を頭まで被り眠りにつこうとした…。

 そうやって今まさに眠りにつこうとしている間際にまた声が聞こえた。
 「お前寒かろう…」「父ちゃん寒かろう」と
 私は眠りを妨げられた事で少々不愉快ではあったが、明日は沙漠へと向かう駱駝バスが日の出と共に出る予定と聞いていたので早く眠るようにとまた、蒲団へともぐりこんだ。
 しかし、またすやすやと寝息をたてようとするすぐさま「お前寒かろう」「父ちゃん寒かろう」と再び声が聞こえた。今度は私もたまらず「誰?」と聞き返した。
 しかし庭に面した襖を開けてもどこにも人の気配は無かった…。少し奇妙さを感じつつも、また眠りにつこうとした。しかしまた、眠りにつこうとする寸前に「お前寒かろう」「父ちゃん寒かろう」と声が聞こえてきた…。よくよく聞くとそれは、自分の蒲団の中から聞こえてきていた…。
 そこで、はっと目が覚めた。やばい、学校に遅刻すると思ったがよくよく考えると既に学校は卒業していた。しかし会社勤めの仕事が待っていた…と思ったが今日は有給日だった。