流れる言葉

青い海が見たかった。うすく、うすく、とても、とても、透き通るような青の海が…。
 死のうと決めてから、すでに一週間がすぎていた。我ながら、決断力の弱さの為にここまで追い詰められながら…最後の最後まで…全く。さっさと決めたらどうだ?とは思っているものの、覚悟はとうの昔に出来ているはずの…おかしい、何かしら、心の底に一つだけ、微妙な物が揺らめいていた。
 全てが闇の中に消えていくような感じがした。
 黙々と海の上に浮かぶ酒を飲み干していると外で急に風のざわめきが聞こえた。外を見ると、雲が遠くの方で静かに流れ、大樹がさわさわとまるで波のように流れ打ち寄せていた。揺らめいていた。
 その流れを幽かに細めた目で見ていた。
 その間、「ああ!」と一つだけ呟いた。発した言葉はそれだけであった。