一本の木

一本の木と二時間近く対峙する空間から一歩外へ出ると
子供のおもちゃ売り場やタジン鍋が特売で売られている
まるで第三世界から先進国へと旅行に来たような感覚に襲われる
そして、数々の服や雑貨などがあふれるショップの前を通り過ぎていると
物の多さにめまいがして、その物の多さが逆に何も無いパキスタンの路上の風景が
脳にフラッシュバックする
その違いの大きさにいまさらながら考えていると
さらにモロッコの切り立った山の情景が浮かび上がり
或る渓谷にて、私が持っていた一つのボールペンが欲しいと泣き出したの女の子の泣き顔を思い出して…
その場に、呆然とただ立ち尽くすのみだった…