地下室の人

会員制と書かれたネオンのまばゆい看板のDというバーが気になった
夜の二時だった
楽器の商談で元町に宿をとっていたが先方の都合で少し長引いたが21時にようやくその取引を終え疲れた体に酒を入れようと思い、久々に三宮で飲もうと商店街の裏を歩いていた。
夏も終わりの兆しをみせていて、少しの肌寒さと残っている熱気が交互に肌を襲ってきた。
地下にあるそのDというバーに下りていくとまるで何十年と閉ざされた重みのある鉄のドアが表れた。そしてそこは不思議な事に人の気配が全くしなかった。閉鎖された牢獄の扉のようだなと勝手に想像した。