屋根裏の散歩者

 髪を切りに行く。
現れたのはまるで屋根裏を散歩していて今ここに落ちてきましたとばかりの風貌のロン毛の浮浪者風のオヤジ。
「どのように?」と聞いてきたので「ベリーショートで」と答えると「短くですね」と答えが返ってきた。
英語の授業じゃないんだから…。よれよれのダブダブのTシャツを着たそのロン毛の男はやはり散歩しているかのように私の周りを廻りながらカットした。出来上がったのはソフトモヒカンに近かった。
泣きながら散髪屋を後にした…。家に帰りたくなくなった。いや外に出るのもいやだった。
次からは以前にカットしてくれた女性を指名しようと心に誓った。