一度死んだ妹

 幼少の頃、小学校へ入ったかどうかの頃。
家のそばのドブ川が夏の台風の雨のせいで氾濫していた。
 私と妹は道までせり出した川の水が楽しくパチャパチャと遊んでいた。
その時、妹が急に水に足を取られた。流されかける妹、だがしっかりとそばの草を掴んでで離さない。
 私はどうする事も出来ずただ見ていた…。

そこに近くの学校の人が通りかかり妹を助けてくれた。
安堵の気持ちで一杯だった。
 祖母の夢を機会にその事を思い出した。そこで川に流され死んでいたかもしれない妹。
まるで死と生は紙一重だと感じた。
 生と死とはどういうものなのだろうか?今私は生きているのだろうか?
もしかして私は死んでいて、死んだ後の想像が私なのではないかという思いが思考を永遠に廻っていった。