ガジュマルの巨木

 祖母に高野の法事の報告
 老いは病魔を伴って人を襲う
 祖父は寝たきりで言葉も発することが出来ない
 
 まだこの歳になっても生きたいと祖母が言った
 体を大事にと祖母の目から涙が溢れた

 園芸店でガジュマルを買った
 その小さな足で大地に根ざす
 
 熱帯で見た巨木を夢見て
 小さな木の命を
 過ぎて行った巨樹の時間と照らし合わせた
 
 祖母の80年と私の30年
 そして巨樹の千年とが相互に絡み合っているような不思議な錯覚に陥った