「今ここに証を求める!」と長老が声を張り上げて言った。
 何人かの女性が私こそ王女だと主張していた。
 そして今日それぞれ皇女としての証を持ち寄っていた。
 或る者は月の雫を、また或る者は竜の産着を、飛行石を、海の紋章を、雪の結晶のネックレスを、雷の指輪を…等々互いに持ち寄っていた。
 そして全く何も持ってこない女性が一人「私のこの肉体こそが証です」と言い放った。

魔法の国ザンス(16) ナーダ王女の憂鬱 (ハヤカワ文庫 FT)

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