回転祭

 祭りは世界中に有り、そのハレの日には人々が熱病のように狂う…。
 或、地域を旅した時、ちょうど百年に一度の祭りに遭遇した。その祭りはハッシシを吸いながらまるで岸和田のだんじりのごとく、アラブの男達が電車の上で体を回転させながら、踊るかのように回り叫び続けるのであった。
 しかし電車は動かざるをえず、しかたなく急に動きだすと上で回りながら踊っていた男達は次々と回り落ち打どころが悪いと鉄のレールで頭を打ち死んでいく。ま、岸和田でもその時期は死者が出るが…。俺はそれを目の当たりにし、このような死に方だけはごめんだなと一人思った…。
 祭りにおける回転。日本でも祭りは矢倉の回りをなんとか節で回りながら踊る…。祭りにおける回転と言うのは興味深く民俗学的に世界に共通する仕種である。
 また或国では、エロスの宴よろしく低い塔の上やその高台でセクスをしながら男のペニスに股がりながら回転する女や男達の或種のユートピアの宴会は壮観であった。
 死とエロスは祭りの最中に最高潮に達するべき観念であり(いや人間の生活の本質でもあるが、特に祭りにおいて)、また人間の無意識の本質であるような気がしてならなかった…。