陰鬱な衝動

 陰鬱な空気の下を光が走っていた。
それは幽かな光で、その光の内には一片の邪悪さえ存在し得なかった。
一部の神秘主義者達はそのような光では無く、大いなる光を待っていた。この邪悪に満ちた世界を全て叩き壊し、我こそは一部の選ばれた民だと・・・。彼等以外のこの世界について間違った認識をしている奴らは全て滅びよと願っていた。
俺は世界が滅びるのはちっとも恐くは無かった。くだらねえ俺の人生が・・・俺の魂が地獄の劫火に焼かれようとも、そのまま受け入れるだろう・・・。
問題なのは人間の精神か?それとも・・・。
いやここではそれは問うまい。
しかしこれだけは覚えていてもらわねばならない。そう・・・一筋の光はまごう事なく彼女から発せられていた。
その一筋の光、幽かな光だが、舞うごとくに私を、いや私達を震撼したのだ。
彼女は毅然とした態度でこう言うのであった。
『私の血にどういったものが流れていると思うの?人間の血だと言うの?違うわ、汚れ無き悪魔の血よ!』
俺は悪魔が果たしてどういった神の下で言われているのか解らなかった。イスラムか?イスラエルか(ユダヤか?)仏教?密教?キリスト教?
解らない、ただ解らぬ悪魔が暗躍しているのがわかりかねるぐらいだ。
この世の果てには何が在るのだろうか?
存在の希薄、あらゆる命の暗躍。
もう止めよう、過ぎた季節を思い出すのは。
堕落して、と母は言う。
堕落の神よ!
思い出すが良い、この世の全てを!
さあ盃を干せ!
この堕落の星達よ。
マクドナルドの栄光の下に。
煙突からはもくもくした煙り。
ディズニーランドからは永遠なる夕焼け。
雲の下には相も変わらず欲望の顔をした、腐れきった表情だけか?