紫天蝶

 店長が異動でA支店へ行ってから、一番古株の人が責任者になって2週間ばかりが過ぎようとしていた。支店へ出社すると、すぐさま電話が鳴り出ると課長からであった。「今日から、本社のK君がそこの支店長になるからよろしく」と言うとすぐにガチャと電話は切れた。すぐさま支店のドアが開くと「いやー、どうもですー」とハイテンションなピエロを砕けたような感じの男が現れた。
 「どーも、今日からここの支店の責任者であり支店長と言う重要な職務を任された北でーす」と言い放った。直後、俺はこの会社を辞めようと思った。しかし考え直し。「よろしくお願いします」と答えた。カムチャッカへ飛ばされるよりはましだ。