乱交パーティなる酒池肉林

 会社がベルゼブブ・ファイナンスに譲渡されてから早、半年が過ぎようとしていた。悪徳に馴染めない者は去るのみだ…。去年の忘年会は乱交パーティさながらの様相で、社長を頂点とする面々での忘年会はさながら悪魔のサバトを思わせるくらいだった。
(いや悪魔であると今でも確信しているが…。)
 ここに我が社の契約書の内容を多少は記載するがどうしても肝心な所は私と会社の契約上書けない部分もあるのでご了承願いたい。
 まず、当社の契約において破産は認められていない。当社が融資して払えなくなってどうしようもなくなると、破産を裁判所に求めても他社はその通り認められるかもしれないが、当社では魂をこちらに譲渡されるのだ。いや破産に限らず弁護士介入や調停、個人再生等も全て魂の譲渡としてこちらに受け渡される事になる。これは私も恐ろしい事であると身震いがそのつどしてしまう。当社にとっては債務整理とは死と同義語であると言える。
 そしてその部下である私も或魔術をもって、破産宣告を申し立てた者の家に向かいその者の魂を受け取りに行くのだ…。そうまるで死神の役目である。
 その者の魂を受け取りに行く=死を見取るのだ。そして初めて全ての債務の完済となる。